HAMILTON/ハミルトン|独創的なフォルムを守る精密メンテナンス。

クロスで磨かれるベンチュラ
仕上げにケースを磨き上げ、最高の状態でお返しします。

時計史にその名を刻む傑作、**HAMILTON(ハミルトン)の「ベンチュラ」**の電池交換をご依頼いただきました。

1957年に世界初の電気式腕時計として誕生して以来、そのアシンメトリーな三角形のフォルムは、時代を超えて多くのファンを魅了し続けています。その独特な形状ゆえに、メンテナンスには一般的な時計以上に細心の注意と確かな技術が求められます。

お客様の大切なパートナーであるこの一台を、末永くご愛用いただけるよう、一つひとつの工程に想いを込めて作業を進めてまいります。


1. 外観チェックと事前診断

まずは作業前に、ケースのキズや動作状況を慎重に確認します。ベンチュラ特有の美しい曲線美を損なわないよう、指サックを着用し、皮脂や汚れが付着するのを防ぎながら取り扱います。

ハミルトン・ベンチュラの正面写真
電池交換のご依頼をいただいたハミルトン・ベンチュラ。

2. 裏蓋の取り外し

ベンチュラの裏蓋は、形状に合わせて精密なネジ留めがなされています。無理な力を加えるとネジ頭を傷めたり、密閉性が損なわれたりするため、専用の工具を用いて垂直に、かつ慎重にアプローチしていきます。

ベンチュラの裏蓋とネジ留めの様子
慎重に裏蓋のネジを取り外していきます。

3. ムーブメントの確認と電池交換

裏蓋を開けると、緻密なクォーツムーブメントが現れます。まずは古い電池を取り出し、液漏れや端子の腐食がないかを確認します。ベンチュラの内部構造は非常に繊細ですので、他のパーツに干渉しないよう、ピンセットの先一つにも神経を集中させます。新しい電池をセットし、正確な時を刻み始める瞬間は、技術者としても最も喜びを感じる瞬間です。

ベンチュラの内部ムーブメント
緻密なムーブメント。新しい電池をセットします。

4. 防水の要、パッキンのチェック

電池を交換して終わりではありません。時計の寿命を左右するのは、実は「防水性」です。裏蓋の溝に配置されたパッキンは、経年劣化で弾力性を失い、湿気混入の原因となります。古いパッキンを取り外し、状態を厳しくチェックします。

パッキンを取り外すピンセットの先
防水性能を維持するため、パッキンを慎重に外します。

5. パッキンのグリスアップ

取り出したパッキンには、専用のシリコングリスを塗布します。これにより、ゴムの柔軟性を復活させるとともに、裏蓋との密着性を高め、気密性を向上させます。ベンチュラの複雑な三角形のラインに合わせ、ムラなく丁寧に仕上げていきます。

スポンジに乗った三角形のパッキン
パッキンの弾力を保つため、グリスアップを施します。

6. 最終仕上げと時刻合わせ

すべてのパーツを元通りに組み上げ、最後にケースを専用のクロスで丁寧に磨き上げます。指紋一つ残さない鏡面仕上げの輝きは、まさに「復活」の証。正確な時刻合わせを行い、すべての動作チェックをクリアして、お客様のもとへお返しいたします。

クロスで磨かれるベンチュラ
仕上げにケースを磨き上げ、最高の状態でお返しします。

お客様へ

「お気に入りの時計を、これからも安心して使いたい」 そんなお客様の信頼に応えるため、私たちは電池交換という小さな作業の中にも、プロとしてのこだわりを詰め込んでいます。ハミルトンをはじめ、特殊な形状の時計や思い出の詰まった逸品まで、ぜひ当店にお任せください。精いっぱい、心を込めて対応させていただきます。