GUCCI / グッチ|受け継いだ大切なヴィンテージウォッチを再び動かす、丁寧なメンテナンス

黄色いクロスで綺麗に拭き上げられたグッチの腕時計。職人がリューズを操作して時刻を合わせている。
裏蓋を完全に閉じ、最終的な拭き上げを行ってから正確な時刻へと針を合わせます。

「デザインが素敵で譲り受けたけれど、今は止まっている」「電池を交換すれば動くはずだけれど、高級ブランドの時計だからどこに頼めばいいか分からない……」そんなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

グッチ(GUCCI)をはじめとするハイブランドの腕時計は、その美しい佇まいだけでなく、内部も非常に繊細に作られています。エファーナでは、単に電池を入れ替えるだけでなく、時計がこれから先も長く健康に時を刻み続けられるよう、細部まで「丁寧なメンテナンス」を心がけています。

今回は、お預かりしたヴィンテージ・グッチの電池交換の全工程を、こだわりとともに詳しくご紹介いたします。

1. 時計の状態と裏蓋の形状を確認

緑と赤のシェリーラインが美しい、ゴールドケースのヴィンテージ・グッチの丸型クォーツ腕時計。
今回お預かりした、クラシカルな雰囲気が魅力的なヴィンテージ・グッチの腕時計。

今回お預かりしたのは、グッチの象徴である緑と赤の「シェリーライン(ウェブストライプ)」が文字盤に施された、クラシカルで非常に洗練されたクォーツ時計です。気品あるゴールドのケースに、風合いのある茶色の革ベルトが美しくマッチしています。しかし、お預かりした時点では時計は完全に停止している状態。

グッチの腕時計の裏蓋。中央にブランド紋章のクレストと型番「2200M」が刻印されている。
傷をつけないよう、作業前に裏蓋の形状や刻印(型番2200M)を慎重に確認。

作業を始める前に、まずは時計を裏返してバックケース(裏蓋)の状態を細かくチェックします。中央にはグッチの伝統的なクレスト(紋章)と、モデル名である「2200M」の文字が刻印されています。

今回の裏蓋は「ポコタイプ(スナップバック・こじ開け式)」と呼ばれる形状です。無理に開けようとすると、ゴールドのケースや貴重な刻印に傷をつけてしまうため、どこに工具をかけるべきか、経年による錆や固着がないかを慎重に見極めます。

2. 慎重な開封と、開けたからこそできる「内部のお掃除」

専用工具で開けられた時計の内部。白い保持リングの中にあるクォーツムーブメントと、取り外された古いボタン電池。
時計のケースに傷をつけないよう慎重に裏蓋を開け、古い電池を取り外した状態。

形状を確認後、時計専用のヘラ(こじ開け工具)を使い、適切な角度と力加減でゆっくりと裏蓋を開けていきます。「パチン」とわずかな音とともに裏蓋が開くと、白いプラスチック製の保持リング(スペーサー)に守られた、精密なスイス製のクォーツムーブメントが現れました。内部に液漏れなどの大きなダメージがないことを確認し、まずは役目を終えた古いボタン電池を丁寧に取り外します。

綿棒を使って、時計ケースの縁や内部の微細なチリ・汚れを優しく掃除している職人の手元。
新しい電池を入れる前に、内部へのチリの侵入を防ぐため、綿棒で細部まで清掃します。

ここで、エファーナが最も大切にしているこだわりの工程に入ります。それは、電池を入れる前の「徹底したお掃除」です。

腕時計は日常的に身に着けるもの。そのため、裏蓋の隙間やケースの縁には、どうしても微細なチリや埃、汗による汚れが蓄積してしまいます。これらをそのままにして電池を入れて蓋を閉めると、作業の振動でチリがムーブメントの歯車に噛み込んでしまい、止まりや遅れの原因になってしまうのです。

ピンセットや指サックで時計を保護しながら、綿棒を使って細かなゴミを一本一本丁寧に取り除いていきます。特に、新しい電池が触れる「接触端子(ターミナル)」部分は入念に清掃します。ここに目に見えない皮脂や汚れがついていると通電不良を起こしてしまうため、しっかりと磨き上げて電気の通り道を良くしておきます。

3. 科学的なアプローチでの動作確認と回路チェック

新しい電池がセットされ、パルスチェッカーの上で電子回路の発信(緑色のLED点灯)を確認している時計。
電池交換後、専用のパルスチェッカーに乗せて回路が正常に動作しているかを確認。

内部が完全にクリーンになったところで、新しい高品質な電池をセットします。しかし、ここで蓋を閉めて終わりではありません。時計が本当に正常に動き出したかを科学的に検証します。

ルーペ(キズミ)を覗き込んで、目視で微小な歯車の動きをチェックすると同時に、「パルスチェッカー(クォーツ回路診断機)」と呼ばれる専用の機械に時計を乗せます。 この機械は、クォーツ時計の心臓部である電子回路から発せられる微弱なパルス信号(電気信号)を感知するものです。機械の緑色のLEDランプがピカッ、ピカッと規則正しく点灯しました。これは、回路が完全に生きており、正常に電気信号が発信されている証拠です。このプロセスを踏むことで、お客様に「間違いなく正常に動いています」と自信を持ってお伝えすることができます。

4. 裏蓋のケアと防水性を高める仕上げ

外された時計の裏蓋の内側。綿棒で縁の汚れを取り除き、グリース処理を行っている様子。
裏蓋の内側も美しく磨き上げ、防水性を高めるための処理を行います。

本体側の確認を終えたら、今度は取り外した裏蓋そのもののメンテナンスです。裏蓋の内側の縁にも汚れが溜まりやすいため、ここも綿棒を使って拭き上げます。

さらに、時計の防水性・防塵性を維持するための要であるゴムパッキン周辺の汚れを取り除き、専用のシリコングリースを塗布する処理を施します。これにより、パッキンの劣化を防ぎ、日常の汗や埃が時計の内部に侵入するのを防ぐことができます。こうした目に見えないひと手間が、時計の寿命を大きく変えるのです。

5. 完璧な引き渡しに向けて

黄色いクロスで綺麗に拭き上げられたグッチの腕時計。職人がリューズを操作して時刻を合わせている。
裏蓋を完全に閉じ、最終的な拭き上げを行ってから正確な時刻へと針を合わせます。

すべての清掃と処理が終わったら、専用のプレス機や工具を用いて、裏蓋を均等な力でカチッと確実に閉じます。 仕上げに、柔らかいマイクロファイバークロス(セーム革)を使い、ガラス面やゴールドケース全体を優しくピカピカに拭き上げます。文字盤の美しいシェリーラインが、本来の輝きを取り戻しました。

最後にリューズをそっと引き、現在の正確な時刻へと針を合わせます。チクタクと静かに、しかし力強く時を刻み始めたグッチの腕時計。これでお客様へお渡しする準備がすべて整いました。

ブランド時計の電池交換も、エファーナにお任せください

「高級ブランドの時計だから、普通の時計店では断られてしまうかも……」 「古いヴィンテージウォッチだから、修理に出すのが不安」

そのように悩まれている方も、どうぞご安心ください。エファーナでは、グッチをはじめとする世界のブランド時計や、思い出のヴィンテージウォッチの電池交換を承っております。

お預かりした時計は、単なる工業製品ではなく、お客様の大切な資産であり、思い出の詰まった宝物です。だからこそ、私たちは一つひとつの工程を絶対に妥協せず、細心の注意と敬意を払って作業を行います。

止まってしまったお気に入りの時計がございましたら、ぜひお気軽にエファーナまでご相談ください。皆様の大切な時計が、再び美しい時間を刻み始めるお手伝いをさせていただきます。