はじめに:一通のLINEから始まった遠く離れた地との縁
香川県高松市にあるエファーナには、日々全国から時計修理のご相談が寄せられます。今回ご紹介するのは、遥か北の大地、北海道のお客様から届いた一通のLINE相談から始まりました。
お客様が手にされていたのは、10年間愛用し続けているという「ダニエル・ウェリントン」。シンプルで洗練されたデザインが魅力の時計ですが、長年の使用により風防(ガラス)には無数の傷がつき、ついに9時位置の縁が欠けてしまったとのことでした。
地元、札幌市内の時計店を数軒回られたそうですが、返ってくるのは「修理不可」の言葉…ついには、購入したメーカー正規店までもが閉店してしまったという状況の中、webサイトで当エファーナを見つけ「最後の頼みの綱」としてご連絡をくださいました。
写真で見る修理前の状態
まず、送られてきた現物を確認していきます。



ダニエル・ウェリントン修理の「壁」とリスク
なぜ、札幌の時計店では断られ続けたのでしょうか。それには、このブランド特有の構造に理由があります。
通常の時計の多くは、裏蓋を開けてムーブメント(機械)を取り出してから、内側からガラスを押し出すことで交換が可能です。しかし、ダニエル・ウェリントンの多くのモデルは、ムーブメントよりも裏蓋の開口部が小さく設計されています。
つまり、「ガラスを外側から割って取り除く」という非常に特殊でリスクの高い作業が必要になるのです。
- ガラスの破片で文字盤を傷つける可能性がある。
- 微細なガラス粉が機械内部に入り込み、故障の原因になる。
これらのリスクがあるため、多くの時計店では敬遠されがちです。お客様も、他店で散々その危険性を説明され、半分諦めかけていらっしゃいました。しかし、「自分にとって大事なもの」という言葉を聞き、エファーナとしてお断りする選択肢はありませんでした。
「文字盤が傷つく可能性を含め、諸々のリスクをご了承いただけますか」という問いかけに、お客様は覚悟を持って「お願いします」と答えてくださいました。
慎重な作業
作業は極めて慎重に進められました。ガラスを割る際、文字盤に一切の傷をつけないよう、最小限の力と高度な集中力が求められます。破片の一粒も見逃さないよう、細心の注意を払ってクリーニングを行い、新しいガラスを装着します。

蘇った透明感と、時計に込められた想い
新しいガラスに交換された時計は、まるで新品のような輝きを取り戻しました。


おわりに
「高価な時計ではないけれど、私にとっては大事なもの」
その想いに、価格は関係ありません。10年という月日を共に歩み、大切な人から贈られた時計。その「価値」を守るお手伝いができたことを、エファーナ一同、心から嬉しく思います。
もし、他店で断られてしまった大切な時計がございましたら、一度エファーナにご相談ください。リスクを隠さず、真摯に向き合い、最善の道を共に探らせていただきます。
北海道のお客様、この度は大切な時計をお預けいただき、誠にありがとうございました。これからも末永く、奥様との思い出の時を刻み続けてください。
時計修理のことでお困りなら、香川県高松市のエファーナへ。 皆様の「想い」に寄り添った修理を心掛けます。