ASCENDA / アセンダ|メーカー修理不可(保守期限切れ・回路損傷)を再び動かす!

裏蓋が閉じられ正常動作が確認されたシチズン・アセンダの文字盤
無事に正常動作が確認され、現在の時刻を合わせて修理完了!

お気に入りの時計や、大切な思い出が詰まった腕時計が動かなくなってしまったとき、私たちはまずメーカーへの修理を思い浮かべるかと思います。しかし、数十年前に製造されたモデルや、すでに生産が終了している高級時計の場合、メーカーから「修理不可」として戻ってきてしまうケースが少なくありません。

今回ご紹介するのは、シチズン(CITIZEN)が誇るかつての最高峰ドレスウォッチライン「アセンダ(ASCENDA)」の修理事例。

1. メーカーで「修理不能」と診断されたシチズンの名機・アセンダ

お客様からお預かりしたとき、このアセンダはすでに動かない状態でした。一度はメーカーの正規修理センターへ出したのですが、戻ってきた診断書には「回路損傷」「保守期限切れ(部品保有期間の経過)」のため、修理対応ができない旨が記されていました。

メーカーでは対応できないと言われてしまうと、諦めてしまいそうになりますが、お客様にとっては手放せない大切な理由がありました。

メーカー修理不可の診断書とともに置かれたシチズンの高級腕時計アセンダ
メーカーから「修理不可」として返却されてしまったシチズン・アセンダ

実は、このお時計は数年前に鮮やかなグリーンのクロコダイルレザーベルトへ交換されたばかりだったのです。気品あるゴールドのケースと、深いグリーンのベルトが実に見事に調和しており、お客様のこだわりと時計への深い愛情が伝わってきます。

「何とかもう一度、動くようになって使えるようにならないだろうか……」

そのような切実なご相談を受け、私たちエファーナで時計をお預かりし、独自のルートと技術でアプローチしてみることにいたしました。

美しいグリーンのクロコダイルベルトが装着されたシチズン・アセンダの全体
数年前に交換したばかりの鮮やかなグリーンクロコダイルベルト

2. 裏蓋を開放し、内部ムーブメントの精密点検

メーカーが「回路損傷」と診断した原因を突き止めるため、そして本当に修復の可能性がないのかを見極めるため、何はともあれ裏蓋を開き、内部のムーブメント(機械)を詳しく調べてみることにします。

腕時計修理の作業台の上に置かれたシチズン・アセンダ
状態を確かめるため、まずは裏蓋を開ける準備へ

腕時計の裏蓋を開ける際は、ケースや裏蓋に傷をつけないよう、時計修理専用のヘラ(こじ開け工具)を使用します。慎重に適切な位置に差し込み、隙間を作って裏蓋を取り外します。

裏蓋を開けると、繊細なクォーツムーブメントが現れました。まずは内部全体の観察と点検を行います。経年による劣化がないか、液漏れの形跡はないかを目視とルーペで確認し、まずはその役目を終えた古い電池を丁寧に取り除きます。

専用のヘラを使い腕時計の裏蓋を開けて内部を点検する様子
専用工具で裏蓋を開け、古い電池を取り外して内部を観察

3. 故障を防ぐための徹底的な「チリ・ホコリ」の清掃

内部の本格的な点検や作業を進める前に、非常に重要な工程があります。それが「ケース周辺の清掃」です。

長年愛用されてきた腕時計は、裏蓋の噛み合わせ部分や周辺の隙間に、どうしても微細なチリや皮脂汚れが溜まってしまいます。この状態で作業を続けると、裏蓋を閉める際や作業の振動で、汚れが繊細なムーブメント内部に入り込んでしまい、新たな故障の原因になってしまいます。

そのため、まずは綿棒や専用のツールを使い、裏蓋周辺の汚れを隅々まで丁寧にお掃除していきます。この一手間が、時計の寿命を大きく左右します。

綿棒を使用して腕時計のケース周辺や裏蓋の縁を清掃する様子
汚れが内部に侵入するのを防ぐため、綿棒を使って入念に清掃

4. 防水性を守るパッキンのチェックとグリース処理

時計の内部に汗や水分が侵入するのを防いでいるのが、裏蓋に装着されているゴム製の「パッキン」です。クォーツ時計は数年ごとに電池交換が必要ですが、そのたびにパッキンの状態を確認することが欠かせません。

取り外した腕時計のゴムパッキンの状態を確認している様子
防水の要である裏蓋パッキンの状態を確認

取り出したパッキンにひび割れや硬化がないかを確かめた後、パッキンの気密性と防水性を維持・回復させるために、「シリコングリース処理」を施します。専用の塗布器を使い、パッキン全体に均一にグリースを馴染ませていきます。

パッキンにシリコングリースを塗布して防水性を高めるメンテナンス
気密性を高めるためのシリコングリース処理

さらに、裏蓋側のパッキンが収まる溝(隙間)も確認します。驚かれるかもしれませんが、この細い隙間には長年の汚れが非常に溜まりやすいスポットです。ここも妥協せず、きれいにクリーニングを施します。

腕時計の裏蓋にあるパッキンが収まる細い溝の汚れを点検する様子
汚れが溜まりやすい裏蓋の隙間や溝もしっかりクリーニング

5. 動作確認と時刻合わせ、そして復活の瞬間へ

今回は、メーカーが「回路損傷で修理不可」とした内部を改めて精査し、一度分解し奇跡的に通電ルートを確保・メンテナンスすることができました。

新しい電池をセットし、裏蓋を元の位置にしっかりと閉じます。その後、目視による針の動きの確認はもちろんのこと、「パルスチェッカー(クォーツ時計の回路から出る信号を測定する機械)」を用いて、正常に美しいパルス信号が出ているかを最終確認します。

波形も安定し、時計が完全に息を吹き返したことが証明されました。最後に、現在の正確な時刻へと針を合わせ、すべての修理工程が完了です。

裏蓋が閉じられ正常動作が確認されたシチズン・アセンダの文字盤
無事に正常動作が確認され、現在の時刻を合わせて修理完了!

大切な時計の修理は、諦める前にエファーナへご相談ください

メーカーで「部品がない」「直せない」と言われた時計であっても、職人のアプローチや丁寧なメンテナンスによって、再び時を刻み始めるケースは多々あります。今回のアセンダも、美しいグリーンのクロコダイルベルトとともに、これからもお客様の手元で末永く活躍してくれることでしょう。

エファーナのWebサイトでは、今回の事例のほかにも、様々なブランド腕時計の修理やカスタム、ジュエリーのリフォーム事例を豊富に掲載しております。ぜひご参考になさってください。あなたの大切な宝物、諦める前に一度エファーナに見せてみませんか?

皆様のご来店・ご相談を、心よりお待ちしております。