お気に入りの時計が止まってしまったとき、皆さんはどうされていますか? 「ただ電池を入れ替えるだけでいい」と思われるかもしれませんが、実はその一瞬の判断が、時計の寿命を左右することがあります。
本日ご紹介するのは、イタリアのエレガンスを象徴するブランド「ミラショーン(mila schön)」のドレスウォッチのメンテナンスです。

ゴールドとブラックのコンビネーション、そして12時位置に煌めくダイヤモンド。非常に洗練されたデザインですが、残念ながら現在は時を刻むのを止めてしまっています。お客様からは「電池の消耗が少し早いような気もする」というご不安の声も伺いました。
エファーナでは、こうした繊細な時計をお預かりする際、単なる作業としてではなく、一つの「物語」を修復するような気持ちで向き合っています。
1. 診断:現在の状態を正しく知ることから
まずは裏蓋の刻印を確認し、モデルの特性を把握します。

電池の消耗が早いと感じる場合、単純な電池切れだけでなく、内部の油切れや微細な汚れによる抵抗、あるいは回路の不具合も考えられます。まずは一度お預かりし、現在の電池がどの程度弱まっているのか、内部に異常はないかを探る慎重なステップが必要です。
2. 清掃:エファーナが「綿棒」を多用する理由
時計の裏蓋を開ける際、私たちが最も気を配るのが「ゴミの混入」です。

裏蓋を開くと、ケースとの接合部分には長年の使用で蓄積した微細な埃や皮脂汚れが溜まっています。これらを放置したまま蓋を開けると、汚れがムーブメントの中へ落下し、故障の原因になります。
ここで活躍するのが、私たちの頼れる相棒「綿棒」です。 エファーナの作業デスクには、常に清潔な綿棒が備えられています。これを使って、ムーブメントに触れる前に、ケースの縁を隅々まで清掃します。お客様の大切な時計の内部に、一粒の塵も入れない。これがプロとしての最低限の礼儀だと考えています。
3. 診断と交換:パルスチェッカーによる確信
古い電池を取り出し、いよいよ新しい電池をセットします。しかし、ここで終わらないのがエファーナです。

「パルスチェッカー」と呼ばれる専用の診断機を使い、時計の回路が正常に信号を送っているか、機械的な動きにスムーズさがあるかを確認します。緑のランプが正常なリズムで点滅すれば、一安心。この「パルス(脈動)」を確認することで、お客様に「問題なしです」と自信を持ってお伝えできるのです。
4. 防水性能の復活:パッキンへのこだわり
電池交換において、電池そのものと同じくらい重要なのが「パッキン」の処理です。



裏蓋のパッキンを一度剥がすと、その下の溝には驚くほど汚れが溜まっているものです。ここでも再び綿棒の出番です。汚れを綺麗に取り去り、まっさらな状態に戻します。
そして仕上げに、パッキン専用の「シリコングリス」処理を施します。 グリスを含浸させたスポンジでパッキンを包み込むようにコーティング。これにより、ゴムの弾力が復活し、気密性が格段に高まります。日常生活での汗や湿気から時計を守る、目に見えないバリアを張る作業です。
5. 仕上げ:お客様のもとへ
すべての工程を終え、裏蓋をしっかりと閉じます。

現時刻に合わせ、作業中についたわずかな指紋や汚れも丁寧に拭き取ります。 ピカピカに磨き上げられたミラショーンは、お預かりした時よりも心なしか誇らしげに見えます。
「エファーナに相談してよかった」
そう言っていただける理由は、この「見えない部分への手間」にあると自負しています。 電池交換は、時計にとって数年に一度の「健康診断」です。 大切な時計だからこそ、ただ動かすだけでなく、より良い状態で。
高松市のエファーナでは、技術と愛情を持って、皆様の大切な時をサポートいたします。 止まってしまった時計、少し調子が悪い時計があれば、ぜひ一度お持ちください。