洋服のポケットに入れたままうっかり洗濯機へ回してしまい、「ハッと気づいた時には時すでに遅し…」というご相談は、実は年間を通して少なくありません。
今回お持ちいただいたのは、スタイリッシュなデザインで人気のGUESS(ゲス)のスクエア型腕時計です。洗濯機から取り出した際、ガラス面の内側に水滴がびっしりと入り込んでくもってしまっていたとのことでした。

店頭でお預かりした時には、一時的にガラスのくもりや水滴は消えている状態が…、一度内部に入り込んだ水分が自然に外へ抜け切ることはまずありません。ムーブメント(機械)内部に水気が残ったままだと、文字盤の変色や針のサビ、電子回路のショートによる故障へとつながってしまいます。
そこで今回は、お時計を一度お預かりし、ケースの完全分解乾燥および内部の丁寧な拭き取り作業を進めていくことになりました。

まずは裏蓋を取り外し、内部の様子を観察しながら作業を開始します。
続いて、防水性を確保するための裏蓋パッキンの状態をチェックしていきます。ピンセットで慎重に取り外したあと、裏蓋の細い溝に溜まっている汚れや皮脂、水気などを綿棒を使ってていねいに取り除きます。


取り外したパッキンには、気密性を高めてゴムの劣化や硬化を防ぐために、専用のシリコングリース処理を施しておきます。

次に、メインの作業となる内部の乾燥・清掃工程に入ります。
リューズを抜き、繊細な文字盤とムーブメントをケースから慎重に取り出します。ムーブメントは専用の保持台へセットし、まずは空になったケース内部の水分や汚れをしっかりと拭き取っていきます。

ガラスの裏側はもちろんのこと、ケース内側の段差やフチの細かい溝の隙間まで、綿棒を使いながら水気が残らないよう徹底的にお掃除していきます。

清掃後は、ケースを光にかざしながら角度を変えて何度も確認します。ガラス内側に拭きムラや水分が乾いたあとの跡、微細なホコリなどが残っていないか、細心の注意を払いながら仕上げを行っていきます。

ケースの清掃が終わったら、取り出したムーブメントもしばらくの間、しっかりと自然乾燥させます。文字盤の裏側やパーツの隙間に潜んだ水分を完全に飛ばすため、時間をかけて乾燥を見守ります。

しばらく時間が経ち、内部の水分が完全に無くなったことを確認できたところで、乾燥させたムーブメントを再びケースへと慎重に組み込んでいきます。

グリース処理を施したパッキンをセットして裏蓋をしっかりと閉じ、正確な時刻合わせを行って復旧メンテナンスが完了いたしました。ガラスの透明感も取り戻し、無事に再び動き始めてくれました。
腕時計は生活防水仕様であっても、洗濯機のような「強い水圧」や「洗剤(界面活性剤)」には耐えられません。万が一水が入ってしまった場合は、絶対にドライヤーで熱をかけたり放置したりせず、できるだけ早く専門店へお持ち込みいただくことが時計を救うポイントです。
エファーナのWebサイトでは、今回の事例のような誤洗濯や水没トラブルをはじめ、様々なブランド時計の修理・メンテナンス事例を多数掲載しております。大切な時計で困ったことがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。