ダイバーズウォッチの代名詞として世界中で愛される「オメガ(OMEGA)シーマスター」。高い防水性能を誇るタフな名機ですが、海や水辺でのご使用後にトラブルのご相談をいただくことがございます。
今回お持ち込みいただいたのは、精悍な波模様のブラック文字盤が魅力的なシーマスターです。

「腕に着けていて、なんだか見にくい……」とお越しくださったお客様。時計をよく見ると、サファイアガラスの内側が白く濁ってしまっています。

「そういえば……昨日海に着けていて水が入ったのかも……ドキドキ」と大変ご不安なご様子でお持ちいただいた次第です。
腕時計内部への海水浸水は、一刻を争う緊急事態です。内部のムーブメントは繊細な金属パーツの集合体であり、塩分を含む水分を放置すると数時間から数日で急速に「錆(サビ)」が発生し、再不能なダメージに繋がってしまうためです。
一刻も早く内部を乾かすため、直ちに分解作業へ着手しました。


早速、すぐに裏蓋を開いて水分を飛ばしていきましょう!錆の原因となる水分を素早く取り除かなくてはなりません。耐磁用の内蓋を取り外すと、オメガの美しいムーブメントが確認出来ました。



さらに、時計本体ケースから取り除くため分解を進めます。固定の爪2本を顕微鏡をのぞき込みながら慎重に外す繊細な作業です。リューズを抜き、ムーブメントを慎重に取り除くと本体ケースのみになりました。中身を抜くとガラス裏面の曇りが非常にひどい状況であることが改めて確認できます。



ケース内側からもしっかりと拭き取り乾燥させます。文字盤のシーマスター「300m/1000ft」という防水表示。この表示はしっかりとリューズがねじ込まれ、さらにパッキン等が新しい状態の時の機能です。経年劣化や日常の使用状況により防水性能の低下は免れません。注意が必要ですね。取り出したムーブメントは専用の固定台へセットし、しばし自然乾燥をさせます。
完全に乾燥させた後は、念入りなクリーニングとパッキンメンテナンスを行います。



ケース内側、油の拭き取り後はアルコール消毒を実施。ガラス面の油分や曇り成分を完全に取り除いておきます。そして、パッキンの状態チェック。パッキンを収める溝のお掃除には綿棒がとても役に立ちます。チェックを終えたパッキンには、気密性を高めるシリコングリース処理を施しておきます。


ケースのガラス面は、何度も何度も光にかざしクリアさを確認します。表面(表側)からも内部の微細な汚れや拭き残しがないか入念に確認しておきます。

裏蓋の隙間、ここも意外と汚れが蓄積する箇所。汚れ取りは綿棒を使用し、細かい箇所もきれいにしておきます。裏蓋の隙間のこの時にしか出来ないお掃除です。しっかりと綿棒を使いお掃除を行います。

乾燥と細部の洗浄・清掃・点検を終え、全ての工程を終えてムーブメントの組み込みを行います。裏蓋を閉め、正常動作の確認を終えて無事に作業完了です!
白く濁っていたガラスは見違えるほどクリアになり、力強い波模様の文字盤が再び美しく蘇りました。迅速な処置を行ったことで、ムーブメントへの錆被害も最小限に防ぐことができました。
エファーナのwebサイトにも様々な事例を掲載しているので、ご参考になられてください。
「時計内部が曇ってしまった」「水が入ってしまった」「大切な時計を長く安心して使いたい」など、腕時計のお困りごとや緊急のトラブルがございましたら、ぜひお気軽にエファーナまでご相談ください。