PAUL HEWITT / ポールヒューイット|お急ぎの電池交換も即対応!専用圧入機とパッキンメンテナンスで安心の復活

パルスチェッカーの上に時計を置きルーペで動作確認と現時刻を合わせる最終段階
ルーペの目視とパルスチェッカーで正常動作を確認し、時刻を合わせて作業完了

今回は、ドイツ発の洗練されたマリンスタイルと、錨(アンカー)のモチーフが特徴のブランド「PAUL HEWITT(ポールヒューイット)」の腕時計の電池交換。

「時計が止まってしまって困っている」「急ぎで電池を交換して使えるようにしたい」といったお急ぎの案件で、早速お預かりして電池交換作業を進めて行きます。

1. 止まってしまったPAUL HEWITTの腕時計をお預かり

お持ち込みいただいた時点では、すでに完全に針が止まってしまっている状態で、お急ぎのご要望をいただきました。

電池が切れて止まってしまったPAUL HEWITT(ポールヒューイット)の腕時計
お急ぎ案件としてお預かりした、完全に停止しているポールヒューイットの腕時計

2. 裏蓋の構造確認と専用ヘラを用いた開放作業

まずは裏蓋の構造をじっくりと確認することからスタートします。腕時計の裏蓋にはいくつか種類がありますが、今回は「スナップ式(ポコタイプ)」と呼ばれる圧入式の構造になっていました。

このタイプは、ケースと裏蓋のわずかな隙間に専用の工具(オープナー・ヘラ)を差し込んでテコの原理で開く仕組みになっています。一見簡単そうに見えますが、差し込む角度や力加減を誤ると、ケースに深い傷をつけてしまったり、内部を痛めてしまったりするリスクがあります。時計の特性を完全に見極めた上で、慎重にヘラを差し込んで裏蓋を開送します。

専用のヘラ工具を隙間に差し込んで圧入式の裏蓋を開ける様子
裏蓋の構造を確認し、専用ヘラ(ポコオープナー)を差し込んで開く作業

3. 裏蓋周辺の清掃と、新しい電池への交換・正常動作確認

裏蓋を開けると、その周辺には長年のご使用によって蓄積された微細なチリや埃、皮脂汚れなどがこびりついていることが多くあります。これらをそのままにして作業を進めると、裏蓋を開けた瞬間に内部のデリケートな機械(ムーブメント)の中に汚れが入り込んでしまい、故障の原因になります。

そのため、まずは綿棒を巧みに使い、裏蓋のフチに溜まった汚れを外側へと丁寧に掃き出してお掃除を行います。周囲をクリーンな状態にしてから、古い電池を取り出し、新しい高品質な電池へと入れ替えを行いました。電池交換の直後、時計が再び力強く正常にカチカチと動き出したことを確認いたしました。

綿棒で裏蓋のフチを掃除し新しい電池に交換されたポールヒューイットの内部
内部に異物が入らないよう綿棒でチリを掃き出し、新しい電池へ交換

4. 防水パッキンの取り外しと状態のチェック

電池の交換が無事に完了した後は、時計の気密性と防水性を維持するための重要なパーツである「ゴムパッキン」のメンテナンスへと移ります。

裏蓋の溝にしっかりと張り付いているパッキンを、ピンセットなどを使って傷つけないように慎重に一度剥がします。剥がしたパッキンはルーペを用いて、経年劣化によるひび割れがないか、ゴムが硬化して弾力性が失われていないか、変形していないかなどを細かくチェックしていきます。

ピンセットで取り外した防水ゴムパッキンの状態をチェックする様子
裏蓋に張り付いていたゴムパッキンを一度剥がし、劣化や傷がないかチェック

5. 綿棒を使用した裏蓋周辺の徹底的なお掃除

パッキンを外した後の裏蓋の溝やその周辺には、目に見えにくい微細な汚れがびっしりと詰まっていることがあります。ここでもう一度綿棒を使い、専用の洗浄液も併用しながらお掃除です。

細かい部分まで何度も綿棒を往復させて汚れを拭き取っていくと、詰まっていた黒ずみや埃が見違えるように綺麗に落ち、金属本来の美しい輝きを取り戻しました。この溝を平滑に保つことが、次の工程でパッキンを密着させるために非常に重要となります。

パッキンを外した裏蓋の溝を綿棒でクリーニングし汚れを取り除く様子
溝に詰まっていた微細な汚れを綿棒を使い徹底的にお掃除

6. パッキンへのシリコングリース処理

状態をチェックした結果、今回のパッキンはまだ十分に弾力性が残っており、再利用が可能であると判断いたしました。

パッキンをそのまま戻すのではなく、ゴムの保護と防水性能をさらに高めるために「シリコングリース」を塗布する処理を行います。専用のグリスボックスにパッキンを入れ、全体に均一にグリースを馴染ませます。これにより、ゴムの乾燥や劣化を防ぎ、日常の汗や突然の雨から時計内部を守る気密性がぐっと向上します。

ゴムパッキンに専用のシリコングリースを塗布して防水性能を高める処理
パッキンの状態に問題がないことを確認し、シリコングリース処理を施す

7. グリスアップしたパッキンの再装着と最終確認

シリコングリース処理が施され、しっとりと潤いを取り戻したパッキンを、元の美しい状態にクリーニングされた裏蓋の溝へと正確に戻していきます。

パッキンが途中でねじれたり、浮き上がったりしていないかを確認しながら、ピンセットで均一に配置します。さらに、周囲に新たなお掃除の残りカスや微細なゴミが残っていないかも再度チェックし、裏蓋を閉じるための完璧な下準備を完了させます。

グリースを塗布した防水パッキンを元のクリーンな裏蓋の溝に戻す作業
微細な汚れを完全に掃除し、グリースの付いたパッキンを元の位置へ

8. 専用の圧入機を使用した裏蓋の閉塞

すべての内部メンテナンスが完了したため、いよいよ裏蓋を閉じていく工程に入ります。ポールヒューイットのような圧入式の裏蓋は、非常に噛み合わせが固く作られていることが多く、手だけの力で押し込もうとしてもなかなか閉まりません。無理に押し込もうとすると、ガラス面(風防)に無理な力がかかって割れてしまう危険性があります。

そこで今回は、時計修理専門の「圧入機(裏蓋閉め器)」を使用。時計のガラス面と裏蓋のサイズにぴったりと合う3Dプリントで製作したコマを選び、上下から均等かつ水平にゆっくりと圧力をかけていきます。これにより、時計本体に無駄な負担をかけることなく、「パチン」と小気味よい音とともに確実に裏蓋を閉じることができます。

時計修理用の専用圧入機にセットして固い裏蓋をしっかり閉じる工程
固く入りづらい圧入式の裏蓋を、専用の圧入機を用いて安全に閉じる

9. 動作確認・パルスチェックと現時刻の調整

裏蓋が完全に閉まったら、最終的な品質テストを行います。まずはルーペを用いた目視によって、秒針がスムーズに進んでいるかを確認します。さらに、時計内部の電子回路が正常に機能しているかを科学的に測定する「パルスチェッカー」という専門機材を使用します。

このチェッカーで、遅れや進みの原因となる電気的な異常がないかをしっかり測定し、正常動作の確認が取れました。最後に現時刻へと時間を正確に合わせ、お急ぎのご依頼案件としてのすべての作業が順調に終了いたしました。この一連の作業の流れをお客様へも詳しくご報告させていただきました。

パルスチェッカーの上に時計を置きルーペで動作確認と現時刻を合わせる最終段階
ルーペの目視とパルスチェッカーで正常動作を確認し、時刻を合わせて作業完了

時計の電池交換や修理は「エファーナ」にお気軽にご相談ください

今回のポールヒューイットのように、お急ぎの電池交換であっても、当店ではただ電池を入れ替えるだけでなく、内部の清掃やパッキンのグリスアップなど、時計を長持ちさせるための基本メンテナンスをセットで行っております。

エファーナの時計修理専門サイトには、他にも様々なブランド時計やカジュアルウォッチの修理事例・メンテナンス実績を豊富に掲載しておりますので、ぜひご参考になられてください。お気に入りの時計を長く大切に使うために、何か気になることがございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせくださいませ。