「愛用のロレックス、気分を変えてベルトを自分で付け替えてみよう!」 その意気込みは素晴らしいのですが、ロレックスの設計は私たちが想像する以上に精密。特に、時計本体とブレスレットを繋ぐ「弓管(エンドリンク)」は、ケースの曲線に0.1mm単位で寄り添うデリケートなパーツ。
今回は、DIYメンテナンスで起きてしまったトラブルと、それを解決する修理/修正工程をご紹介します。
1. 違和感の正体は「逆さま」のパーツ
お客様がお持ち込みいただいた際、まず目に飛び込んできたのは、ロレックスの風格を損なう不自然な浮き上がりでした。

ケースのラインに沿わず、不自然に浮き上がった状態。本来は内側に収まるべき尖った角が外に出ており、肌や服を傷つける恐れがあり非常に危険です。
本来、弓管はケースのラグ(足)のカーブと一体化するように設計されています。しかし、こちらは「逆位(ぎゃくい)」、つまり上下逆に取り付けられていました。
2. 「硬いから」とペンチを使うリスク


大切な時計をお預かりし、パーツの状態を詳しく診断していきます。
慎重に取り外してパーツを詳しく観察すると、そこには金属が「悲鳴」を上げた跡が刻まれ専用工具ではないペンチで無理な力を加えたため、金属表面に深い傷が入り、全体が歪んでしまっています。

時計のパーツに「無理やり」は禁物。特にお客様が仰った「取り付けが硬かった」という感覚。これは、逆向きに差し込もうとしていたために構造上入らなかったのですが、それをペンチの力でねじ込んでしまった結果、パーツが内側から崩壊しかけていました。
ベルト側の損傷チェック。幸い、こちら側には問題ありませんでした。

3.手による修理/修正
一度歪んでしまった貴金属のパーツは、単に逆に入れ直せば済むという話ではありません。押し潰された内部を成形し直し、スムーズにバネ棒が通るように修理/修正を施す必要があります。
手仕事と適切な工具により、ケースのカーブと弓管が一点の隙もなく調和しました。これで脱落の心配もなく、安心してお使いいただけます。


最後に:DIYの前に、一度立ち止まって
ロレックスのような高級時計は、パーツ一つひとつが資産です。 「なんだか入りにくいな」「いつもと感触が違うな」と感じたとき、そこで作業を止めるのが、時計を一生守るための最大の秘訣です。
ペンチを握る前に、ぜひエファーナへご相談ください。 私たちは、あなたの「大切にしたい」という想いを、確かな技術でサポートいたします。