新築祝いや記念品として おうちに迎え入れたインテリアは、そこに住む家族の歴史を一緒に見守ってくれる特別な存在です。今回エファーナにご相談いただいたのは、ミッドセンチュリーの巨匠、ジョージ・ネルソンがデザインした名作掛け時計「ボールクロック」です。
お客様がおうちを新築された際に記念として手に入れられた大切な時計ですが、ここしばらくは新しい電池を入れても不調で、ついに止まったままになってしまったとのこと。購入されたお店に相談しても「修理が出来ない」との返信があり、諦めきれずにウェブ検索で当店のホームページを見つけ、遠方から丁寧にお持ち込みくださいました。

丁寧に梱包された箱を開けると、カラフルでポップなボールクロックが姿を現しました。一目見ただけでお部屋がパッと明るくなるような、とっても楽しい雰囲気が一目瞭然の時計です。お客様のこれまでの思い出と、この時計への深い愛着が伝わってきて、「何とかしてお直しして差し上げたい!」と職人魂がくすぐられます。

まずは原因を特定するため、時計の裏側から心臓部であるムーブメントを確認します。

長年のご使用により、内部のギアや回路に損傷を受けたのでしょう。ご覧の通り、プラスチック素材で作られたクォーツムーブメントは、ケース自体が溶着されて固められているものが多く、分解して内部のパーツだけを修理することが難しい構造をしています。たとえ一部のパーツ交換ができたとしても、プラスチックそのものが経年劣化で脆くなっていることが多く、結果的にムーブメント自体を丸ごと新品へ交換する対応が最も確実で長持ちする方法となります。
さっそく交換用の新しいムーブメントを探していきます。しかし、ここで一つの大きな壁にぶつかりました。このジョージ・ネルソンの時計は、特徴的な矢印型の時針や円盤の付いた分針など、針自体にかなりの重量(厚みと大きさ)があります。そのため、一般的なクォーツムーブメントではパワーが足りず、針を動かすことができません。
そこで、文字盤の太いシャフトに対応し、なおかつ回転する力の強い「高トルク型」のムーブメントを取り寄せてフィッティングを行いましたが……どうしても針の重さに負けてしまい、正常な動作に至りませんでした。

オリジナルデザインの針は非常に魅力的なのですが、これをそのまま回し続けるには現代の市販ムーブメントでは負荷が大きすぎます。そこでエファーナがご提案したのが、「時針・分針の別製作による軽量化」です。
元の針の形状やシルエット、サイズ感を寸分の狂いもなくトレースし、アルミなどの超軽量素材を用いて新しく針を製作。これにより、現代の信頼性の高いムーブメントでも滑らかに、そして正確に時を刻むことができるようになります。

新しく用意した安心の国産ムーブメントへと交換し、慎重に位置を合わせながら、別製作した軽量化の針を取り付けます。ここからが時計修理の重要なステップです。机の上に置き、さまざまな角度で数日間のランニングテスト(動作確認)を行っていきます。時間がズレたり、特定の時間で針同士が干渉して止まったりしないかを細かくチェックします。

無事に数日間のテストをクリアし、完璧な精度で動き続けることが確認できました。役目を終えた古いムーブメントと、これまで頑張ってくれたオリジナルの重い時針・分針は、傷がつかないよう小袋にまとめ、修理完了後に記念としてお客様へご返却いたします。

数日間の動作確認を経て、お客様へ「ムーブメント修理・交換完了」のご連絡差し上げました。納品後、お客様から本当に嬉しいお便りと共に、おうちの定位置に再び掛けられた時計のお写真をいただきました!

木の温もりがふんだんに感じられる、とっても素敵な新築空間。その壁面に、カラフルなジョージ・ネルソンのボールクロックがこれ以上ないほどぴったりとマッチしています。

お部屋のアイコンとして、やはりこの時計はここに無くっちゃですね!再びコチコチと心地よいリズムで家族の時間を刻み始めています。
エファーナのウェブサイト(ブログや実績紹介ページ)には、今回の掛け時計修理だけでなく、大切な腕時計の電池交換や分解掃除、思い出のジュエリーのリフォームなど、さまざまな「お直し・甦らせ」の事例を豊富に掲載しております。眠っている宝物や、他店で断られてしまった大切なアイテムがございましたら、ぜひご参考になさってください。