インターネットやSNSを通じて日本全国どこからでも簡単に繋がれるようになった現代。当店が発信している時計修理の日記を見て、遠方にお住まいの方からメンテナンスのご相談をいただく機会がとても増えています。
今回は、大阪にお住まいのお客様より「エファーナの公式窓口」を通じて、大切な腕時計の外装修理についてのご相談をいただきました。メッセージでのやり取りを重ねたのち、お客様の大切な愛機がゆうパックにて、受け取りました。

遠く離れた大阪の地から、数ある修理店の中で当店を信頼し、大切な時計を箱に詰めて託してくださる。そのお客様のお気持ちを想像すると、本当に嬉しく、身が引き締まる思いでいっぱい。ゆうパックの箱を開封し、まずは無事に届いた時計を優しく手に取り、受け取りの一報を差し上げます。
ここから、事前にお伺いしていたご相談内容の確認と、細部におよぶ検品を始めていきます。今回の修理箇所は、大きく分けて2箇所ありました。

画像を拡大してみるとよく分かりますが、まずは1箇所目、7時位置の風防ガラスの外周部分に激しい「欠け」が生じています。ガラスの欠けは見た目の美しさを損なうだけでなく、放っておくとそこからヒビが広がったり、削れた微細なガラスの粉が時計の内部に侵入して、文字盤や針、最悪の場合は精密なムーブメント(機械)を傷つけてしまう原因になります。
そして2箇所目が、6時側の「弓管(フラッシュフィット)」のぐらつき。弓管とは、時計のケース本体と金属製のブレスレットを隙間なく美しく繋ぐための重要なパーツなのですが、触ってみると不自然に浮いてガタガタと動いてしまう状態でした。
原因を正確に突き止めるため、まずは6時位置のブレスレットを切り離し、弓管を取り外して内部の構造を確認していきます。

取り外した弓管パーツを裏側から観察してみると、ぐらつきを引き起こしていた明確な理由が見えてきました。

弓管の内側にある、ケースへと噛み合わせて固定するための「金属のベロ(爪)」が、長年の使用による負荷や衝撃によって外側へと大きく開いてしまっていたのです。これではケースとブレスレットの間に不要な隙間ができてしまい、ガタつきが出てしまうのも無理はありません。さらに、パーツを固定している中心の「バネ棒」を確認すると、内部の湿気や汗が原因で茶色く腐食が進んでおり、強度的にも非常に危険な状態になっていました。
そこで、バネ棒は耐久性の高い新しいものへと交換し、弓管の開いてしまった固定ベロを工具と手技によって元の適正な角度へとじっくり曲げ直す「修正処理」を施しました。

こちらが、歪みを綺麗に補正して正常な位置・形状へと戻した弓管です。開いていたベロがしっかりと本来の角度に戻り、これでガタつくことなく本体へとジャストフィットする準備が整いました。
弓管の修正が完了したら、続いてもう一つのメイン作業であるガラス交換に移ります。本体のガラス受けの直径や厚みを精密に計測し、寸分の狂いもない、新しく美しい風防ガラスをご用意しました。

専用の圧入機を使い、均一に力をかけながら新しいガラスの組み込みが完了いたしました! 曇りひとつない新しいガラスに変わったことで、文字盤の迷彩模様やクロノグラフのインダイヤルが、まるで新品のときのような瑞々しい輝きを取り戻しています。

ガラスをはめ換えたあとは、様々な角度から光を当てて浮きや歪みがないかをチェックします。また、修正した6時側の弓管もブレスレットを繋ぎ直し、ケース本体と一体化するようにしっかりと固定されているかを、手で触れて入念にチェックいたします。隙間なくピタッと収まる、時計本来の美しいフォルムが見事に蘇りました。

最後に、こちらは今回役目を終えて取り外した古いガラスです。赤丸で囲んだ部分に、白くギザギザと欠けていた痕跡がはっきりと確認できます。手首に触れる部分でもあるため、これで怪我をする心配も、内部に湿気や埃が入る心配もすべて解消されました。
「近くに信頼して任せられる時計店がない」「大切な時計だからこそ、細かな作業までしっかりやってくれるお店に見てもらいたい」
そんな全国のお客様の想いに、エファーナは郵送修理という形でも100%お応えいたします。荷物が届いた瞬間から、修理を終えてお客様の元へお返しするその時まで、すべての工程に誠実に向き合います。大阪からご依頼いただいたお客様、この度は大切な時計をエファーナにお任せいただき、本当にありがとうございました!
皆様も、時計のガラス割れやブレスレットの不具合など、気になることがあれば遠方からでもどうぞお気軽に公式窓口よりご相談ください。