長年大切に保管されていたお客様のお時計をお預かりいたしました。今回ご紹介するのは、輝くゴールドケースと上質なレザーストラップが美しいオメガ(OMEGA)のドレスウォッチです。
「時計が止まってから長い間そのまましまってあった」とお聞きし、内部のムーブメントの状態や電池漏液がないかが少し心配なところです。大切な資産でもある金無垢の腕時計ということもあり、細心の注意を払ってメンテナンスを行っていきます。

まずはお預かりしたお時計の質感や構造を確認します。ズシリとした重みと上品な輝きから、18Kゴールド(金無垢)ケースであることが伝わってきます。長期間動かしていない時計の場合、内部で電池が漏液して回路を痛めてしまっているケースもあるため、ヒヤリング内容を念頭に慎重に作業を進めます。

金無垢素材はステンレススチールに比べて非常に柔らかく、工具の接触によって傷がつきやすいため、裏蓋を開ける作業は特に緊張感が走ります。ケース側面と裏蓋の隙間にある微小な開け口を拡大鏡で探し出し、専用のヘラ(こじ開け工具)を正確にあてがって、力を均等に分散させながら慎重に開口します。

裏蓋が開いたら、まずは古い電池を丁寧に取り外します。幸いなことに目立つ液漏れは見られず、一安心。しかし、ケースの縁や溝には長年の微細なホコリや皮脂汚れが溜まっているため、これらが電池交換時にムーブメント内部へ侵入しないよう、細身の綿棒を用いて丁寧に汚れを取り除きます。
その後、電池の接触端子部分を専用工具で磨き上げ通電性を確保。新しい電池をセットしたところ、秒針が力強く動き出し、正常動作が確認できました。

動くことが確認できたら、次は防水性・防塵性を維持するためのパッキンメンテナンスです。裏蓋に装着されているゴムパッキンを取り外し、弾力性や劣化具合(硬化・切れ・変形)をチェックします。

パッキン自体に深刻な劣化が見られないことを確認した上で、パッキン専用のシリコングリースを塗布し、十分な柔軟性と密閉性を与えます。同時に、裏蓋の溝に溜まった細かい汚れも綿棒で綺麗に拭き上げて仕上げます。

最後に裏蓋をきっちりと閉じ、パルスチェッカー(回路の信号計測器)を用いてクォーツムーブメントからの運針信号が正常に発信されているかを数値で最終確認します。回路に異常がないことを確かめた後、正確な現在時刻とカレンダーを合わせてお渡しの準備が整いました。

止まったまま諦めてしまっている思い出のお時計や、金無垢・高級ブランドの腕時計がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。丁寧な点検と清掃を兼ねた電池交換でお応えいたします。