大切な予定がある日に限って、お気に入りの腕時計が止まっている……。そんな経験はありませんか?
今回は、お急ぎ案件として店頭にお持ち込みいただいた、エルメス(HERMÈS)の人気ロングセラーモデル「クリッパー」の電池交換と、細部までこだわり抜いたメンテナンスの様子をご紹介。
エファーナでは、単に電池を入れ替えて終わりにするのではなく、この先も長く安心してご愛用いただけるよう、一つひとつの工程に心を込めて進めております。
1. お急ぎで持ち込まれたエルメス腕時計
19世紀の大型帆船の窓をモチーフにデザインされた、エルメスの代表作「クリッパー」。

ゴールドとシルバーの華やかなコンビカラーに、上品なシェル文字盤が美しく彩るフェミニンな一本。「どうしても近いうちに使いたい用事がある」とのことで、お急ぎの様子で電池交換をご依頼くださいました。
店頭でのお急ぎのご依頼にもスピーディーに対応しつつ、作業の「丁寧さ」は決して妥協いたしません。
2. 裏蓋の開放と、内部に入り込むチリの除去
まずは時計を傷つけないようケースの構造をしっかり確認し、専用のオープナーを用いて裏蓋を静かに開きます。

裏蓋を開けると、エルメスならではの美しいブルーの電子回路を搭載したムーブメントが顔を出します。 ここで重要なのは、新しい電池を入れる前に「ケース外周のクリーニング」を行うことです。時計のケースと裏蓋の隙間には、長年の使用によって汗や皮脂、細かなチリが溜まっています。
この状態で新しい電池をセットしようとすると、隙間のゴミがポロポロと機械内部に落ちてしまい、電子回路のショートや故障を引き起こす原因になります。そのため、綿棒を使ってフチの汚れを完全に拭き取ってから、新しい電池の入れ替え作業を行います。
3. 防水性能を守るパッキンの徹底メンテナンス
続いて、時計を湿気や水から守るための最重要パーツ「防水ゴムパッキン」のチェックに移ります。

裏蓋の裏側に張り付いている黒いパッキンをピンセットで優しく取り外し、ゴムの弾力が失われてカサカサに硬化していないか、千切れや潰れがないかを確認します。

パッキン本体に問題がなければ、さらに裏蓋側の「パッキンが収まる細い溝」もお掃除します。 ここには、古いグリスの残りや細かなチリがこびりついて凹凸ができやすいため、綿棒を滑らせて溝の一周をフラットでピカピカな状態へと整えていきます。この土台づくりが、気密性を復元するために極めて大切です。

綺麗にしたパッキンは、そのまま戻すのではなく「シリコングリス」を塗布します。 黄色い専用のグリス塗布器(スポンジ)にパッキンを挟んで馴染ませることで、ゴムの表面に均一なシリコンの皮膜が作られます。これにより、防水・防塵性能が大幅に向上し、ゴムのしなやかさを長持ちさせることができるのです。
4. ダブルチェックと時間合わせを終えて、オーナー様のもとへ
グリスアップしたパッキンを歪みのないよう裏蓋に戻し、専用の工具を用いて垂直に優しくプレスして裏蓋をしっかりと閉じます。

最後に、電子測定器(パルスチェッカー)の上に時計を載せ、機械から1秒ごとの動作信号が正常に出力されているかをテストします。同時に、肉眼でも秒針が滑らかに動き始めたことを確認し、カレンダーと現在時刻をきっちりと合わせます。
外装を優しくクリーニングしてピカピカに磨き上げたら、これですべての電池交換メンテナンスが完了です!
お預かりから短い時間の中で、内部のチリも、防水パッキンの劣化対策も、動作確認もすべて完璧に行われたエルメスのクリッパー。再び美しく時を刻む姿に、お引き取りにこられたお客様も大変喜んでくださいました。
大切な時計の電池交換・修理はエファーナにお任せください
エファーナでは、お客様が日々愛用されている大切な時計をお守りするため、どんなに小さなお預かりであっても一連のメンテナンスを怠りません。
エルメスをはじめとするハイブランド時計から、カジュアルウォッチ、思い出のヴィンテージ時計まで、止まってしまった時計の電池交換や「最近時間がズレやすくなった」といった不調がございましたら、いつでもお気軽にエファーナまでご相談ください。