Knot / ノット|一見シンプル、実はとても繊細!こだわる電池交換と防水メンテナンスの全工程

電池交換とクリーニングを終え、正しい時刻に調整された美しいKnotの腕時計
すべてのメンテナンス工程を無事に終え、正確な現在時刻を合わせて完了です。

ミニマルで知的なデザインと「メイド・イン・ジャパン」の確かな品質で、男女を問わず絶大な人気を誇る時計ブランド「Knot(ノット)」の電池交換事例をご紹介いたします。

「時計の電池交換なんて、どこでやっても中身を開けて電池を入れ替えるだけでしょ?」と思われる方も多いかもしれません。しかし、実はKnotの時計にはプロの時計職人だからこそ細心の注意を払う「独自のケース構造」と「隠れたリスク」が存在します。

エファーナが、どのようなこだわりと技術をもってお客様の大切な時計に向き合っているのか、実際の作業工程とともにご紹介していきます。

1. 時を止めてしまったKnotのお持ち込み

お預かりしたのは、白い文字盤に黒い端正なインデックス、そして6時位置に配置されたスモールセコンドが美しい、Knotのクォーツ時計です。

電池が切れて秒針が止まった、スモールセコンド仕様の白い文字盤のKnot腕時計
時を止めてしまったKnotの腕時計。電池交換のご依頼でお預かりしました。

数日前から完全に動きが止まってしまったとのことで、電池切れによる交換修理のご依頼をいただきました。再び元気に時を刻むよう、さっそくメンテナンスを開始します。

2. 事前の構造確認:Knot独自の「繊細なケース」に潜むリスク

裏蓋を開ける前に、まずはケース全体の構造を慎重に確認します。ここにこれまでの経験が活かされます。

Knot腕時計の裏蓋。文字盤よりも一回り小さいスナップ式(パッチン式)の構造
作業前に裏蓋の構造を入念にチェック。Knot特有の注意点があります。

Knotの腕時計の多くは、前面のガラス(文字盤)の直径に対して、裏側の金属蓋(裏蓋)が一回り小さい独自のすぼまった形状をしています。構造は「スナップバック(はめ込み式)」と呼ばれる、いわゆるパッチンと押し込んで閉めるタイプです。

実はこの形状、裏蓋を開ける際や閉める際、時としてケース全体に「パチンッ!」と非常に硬く強い衝撃が走ることがあります。

万が一、その衝撃が文字盤に伝わってしまうと、文字盤に貼り付けられている繊細なインデックス(目盛り)やスモールセコンドの装飾フレームなどがポロッと剥がれ落ちてしまうトラブル(稀に発生する二次被害)が起こり得るのです。 もし文字盤のパーツが外れてしまったら、電池交換だけでなく「前面のガラスを取り外して、文字盤上の超微細なパーツを再接着し、ムーブメントを乗せ直す」という大掛かりなお直し作業が必要になってしまいます。

そのため、Knotの裏蓋を開閉するときは、力の逃がし方や工具の当て方に、普通の時計以上の繊細な手の感覚と慎重さが求められるのです。

3. 無事に裏蓋を開け、命を吹き込む前の「大掃除」

熟練の技術により、文字盤に一切の衝撃を与えることなく、美しく静かに裏蓋を開けることができました。これでひとまず安心です。

開けられたKnotの裏蓋周辺の溝を、綿棒を使って丁寧に掃除している様子
裏蓋を無事に開き、内部を傷つけないよう綿棒でケースの汚れを取り除きます。

しかし、すぐに新しい電池を入れて閉めてしまうようなことはいたしません。お皿状になっているケースと裏蓋の境界部分には、長年の使用でかいた汗や皮脂、ホコリが泥のように固着してしまっているケースがほとんどです。 この状態で新しい電池をセットしようとすると、隙間の細かなゴミがポロポロと機械(ムーブメント)内部に入り込み、将来的な電子回路のショートや歯車の接触不良を引き起こします。

そこで、おなじみの「綿棒」の登場です。ムーブメントに触れないよう、外周部分の汚れを優しく拭き取ってクリーニングを行います。

4. 電子機器を用いた「パルスチェック」と動作確認

役目を終えた古い電池を取り出し、新品の電池をセットします。続いて行うのは、電気的な「健康診断」です。

新しい電池をセットし、パルスチェッカーの上に載せて電気信号をテストしている様子
新しい電池をセットした後、パルスチェッカーで動作回路の出力をテスト。

エファーナでは、新しい電池をセットした段階で「パルスチェッカー」と呼ばれる測定器の上に時計を載せます。これは、クォーツ時計の電子回路が正常に作動し、1秒ごとにローター(モーター)へしっかりと電気信号を送っているかを光と音で確認する機械です。

インジケーターのランプ(緑・黄)が正しく点滅することを確認し、さらに肉眼で文字盤のスモールセコンドが力強く1秒ステップを踏み始めたことを確認。これで内部機構の健康状態が完全に保証されました。

5. 時計の寿命を左右する「防水パッキン」のメンテナンス

時計を湿気やホコリ、汗から守ってくれているのが、裏蓋に装着されている黒い輪っか状のゴムパーツ「防水パッキン(Oリング)」です。

ピンセットを使い、取り外した裏蓋から黒い防水パッキン(ゴムリング)を外している様子
気密性を司る重要なパーツ、防水ゴムパッキンの状態をピンセットで確認します。

パッキンは経年劣化によってゴムのしなやかさが失われ、やがてカサカサに硬化したり、潰れたり、ひび割れたりします。ピンセットでそっと裏蓋から外し、弾力が残っているか、変形していないかを確認します。

黄色い専用のシリコングリススポンジの上に置かれた、パッキンのグリスアップ作業
防水性を長持ちさせるため、パッキン専用のシリコングリスを均一に馴染ませます。

幸いにも今回のパッキンはまだしなやかさを保っていたため、再利用が可能です。ただし、そのまま戻すのではなく、防水パッキン専用の「シリコングリス」を塗布します。 グリスをたっぷり染み込ませた黄色の専用スポンジにパッキンを挟んで滑らせることで、ゴムの表面が均一にグリスアップされます。これにより防水性が復元するだけでなく、ゴムの寿命自体を飛躍的に延ばすことができます。

6. 裏蓋の裏側もピカピカに磨き上げる

パッキンが収まる「裏蓋の金属プレート側」も油断はできません。

裏蓋の金属プレート内側、パッキンが密着していた部分の汚れを綿棒で掃除する様子
裏蓋の裏側に残る古いパッキン痕や固着した微細なチリも、綿棒で徹底的に清掃。

裏蓋の内側の外周には、古いパッキンの固着痕や微細なチリがこびりついています。ここに凹凸が残ったままだと、どんなにグリスアップしたパッキンを挟んでも、わずかな隙間から水気が侵入してしまいます。 再び綿棒を使い、裏蓋の溝の一周をピカピカになるまでクリーニングしていきます。

7. 圧入工具(プレス機)による、最後の精密な閉鎖作業

すべての準備が整い、いよいよ裏蓋を閉じる作業です。ここでもKnotならではの注意が生じます。

時計用の圧入機(プレス機)を使い、Knotの裏蓋に均等な力をかけて閉めている様子
最後は裏蓋の圧入作業。専用の工具を用いて、歪みなく真っ直ぐ確実に閉じます。

前述の通り、非常に硬く、かつ繊細なケース構造を持つKnotは、手で押し込もうとすると均等に力が伝わらず、ガラス破損やケース変形を招きます。

エファーナでは、腕時計のサイズにピッタリと合うプラスチック製の「当てコマ」を上下にセットした、専用の圧入工具(プレス機)を使用します。レバーをゆっくり引き下げ、裏蓋に対して「真っ直ぐ、均等な力」をかけることで、不必要な衝撃を完全に排除しながら、吸い込まれるように「パチリ」と正確に、隙間なく裏蓋を閉じることができます。

8. 時間を合わせ、美しく蘇ったKnot

裏蓋が確実に閉じられたことを確認したら、最後のリューズ操作で正確な現在時刻に針を合わせます。

電池交換とクリーニングを終え、正しい時刻に調整された美しいKnotの腕時計
すべてのメンテナンス工程を無事に終え、正確な現在時刻を合わせて完了です。

これですべての電池交換および防水メンテナンス工程が完了いたしました! 静まり返っていた文字盤の上で、再びスモールセコンドが心地よいリズムで時を刻み始めました。丁寧にクリーニングされたケースやガラスも輝きを取り戻し、まるで新品の時のような凛とした佇まいに戻っています。

大切な時計のメンテナンスは、ぜひエファーナへ

「ただの電池交換」に見える作業の裏側には、目配り、心配り、そして専門工具を用いた技術が詰め込まれています。お気に入りの時計と少しでも長く、安心して一緒に過ごしていただくために、エファーナはどんな小さな作業にも手抜きをいたしません。

今回のKnotのようなカジュアルウォッチから、高級インポートブランド時計、ヴィンテージ時計まで、電池交換や動かなくなってしまった腕時計の修理など、どうぞお気軽にエファーナまでご相談ください。

また、エファーナのウェブサイトには、他にも様々な時計の修理事例や、ジュエリーのカスタム・リフォーム事例を多数掲載しております。ぜひそちらもご参考になさってくださいね。

皆様の大切な想い出を動かし続けるお手伝いを、心よりお待ちしております。